双子が生まれてちょうど6ヶ月になる頃にちょうどこの本を見つけ、本の帯にあった〝NICUの子どもたちは大人たちを救うためにやってきた〟という言葉に惹かれて読んでみることにしました。
私自身も妊娠25週の時に緊急帝王切開で双子を出産し、娘たちは4ヶ月ほどNICUとGCUのお世話になっていました。
実際に自分が出産するまではNICUという言葉は聞いたことはあったもののどんなところなのか全く知識はありませんでした。
NICUに関する情報やそこにいる赤ちゃんのこと、通っている家族のことなどは、実際に体験した人以外にはなかなかわからないと思います。
この本は、NICUにお世話になった経験があるので興味本位で読みましたが、やはり考えさせられることがたくさんありました。また出産後や入院中のことをいろいろ思い出させられました。
この本の作者である仙道ますみさんの実体験がマンガになっていてNICUのこと、またNICUに子どもがいる家族のことがわかりやすく書かれていました。
実際にNICUにいる赤ちゃんは、未熟児や障害を持って生まれてきた子など医療の力を借りないと生きていくのがむずかしい子ばかりです。
なのでNICUでのことはとてもセンシティブな内容が多く、情報が公開されること自体があまりないのではないでしょうか。
NICUに通う家族は我が子を心配し不安を抱えている人が多いと思います。
私も、1000g以下で生まれた我が子が毎日ちゃんと生きているのか面会に行くたびに不安と心配でいっぱいでした。
NICUにいる看護師さんたちは、赤ちゃんのお世話と家族のケアと小さな命をつなぐために必要なとても大変な仕事を毎日細心の注意をはらってしてくれているんだなぁと感じました。
この本は、仙道さんの娘さんがNICUにいた時の実話です。
NICUの読み物となると重い話が多いように感じますがこの本では主人公の仙道さん家族も明るいキャラクターで描かれていてとても読みやすかったです。
先天性の病気を持って生まれてきた娘のホナミちゃんがNICUで過ごした時のこと、看護師さんとのやりとりなどNICUの看護師さんたちが患者さんや家族に寄り添ってくれている様子も描かれています。
普段なにげなく過ごしている一日が、小さな命にとってどれだけ大きな一日か。見が見えること、耳が聞こえることは当たり前のことのようですが、健康に生きていることがどれだけ幸せなことなのか、もう一度考えさせられました。
また、NICUに通った経験があるというだけで共感できる部分もたくさんありました。
まさか自分の子供が病気になるなんてと思う気持ちとなんとか赤ちゃんがこの先、不自由がなく生きていけるようにしてあげたいという母親としての気持ちもストレートに書いてあります。
ホナミちゃんが頑張って生きてくれたことによって得られた家族の幸せや医療の分野への新たな例としてもホナミちゃんが生きていたことには大きな意味があると思いました。
我が家の娘たちは無事に退院して順調に成長していますが、育児で大変なことがあっても「これは幸せな大変さ」だと思うようにしています。
元気に生きていて一緒に過ごせること自体が幸せなことです。無事に生まれてきてくれたこと元気でいてくれることが当たり前だと思わずに毎日が奇跡の積み重ねなんだと感じました。
普段忘れがちな感情を、この本を読んで思い出させてもらいました。